多数のエキストラを雇う代わりに、CGで人物を作り、自由に動かしたり、陸上に置いたタイタニック号のセットに、海の映像を組み合わせると、たちまち大西洋上の航海シーンを撮影できるといった具合です。CG技術は映画だけでなく、教育分野と娯楽のミックスした「エデュテインメント」やゲームの分野でも幅広く応用されており、将来性も高いものがあります。このため、CG用ワークステーションの分野には、ヒューレット・パッカード社やマイクロソフト社も参入するなど、激しい競争が行われています。このように大成功したクラークですが、さらにインターネット用のブラウザにも目をつけて、イリノイ大学の学生で、「モザイク」を開発したアンドリューセンなどと組んで、「ネットスケープ・ナビゲータ」を開発、たちまちブラウザ市場を制覇するなど、二度の大ホームランを放ったことでも有名です。
インターネットを角度から定義すると、TCP/IPというプロトコルを使用してつながっているコンピュータのネットワークだと言えます。TCPについてごく簡単に説明を加えますと、それはトランスミッション・コントロール・プロトコル、すなわち、転送の制御をするプロトコルです。このTCPが、IP(インターネット・プロトコル)とセットになって、インターネット上のコンピュータの通信を制御しているわけです。この転送の制御の仕組みは、基本的にそれぞれのコンピュータが責任をもって、種々のコントロール―先ほどバーチャル・サーキットを形成するために必要だと説明した「フロー・コントロール」「コンジェスチョン・コントロール」「シーケンシャル・コントロール」などをして、信頼性を高めるというものなのです。両端の能力が低い場合には「中間」がしなくてはならない、混雑をしたときに正しいデータを送るための仕組み、データが途中で壊れたときに再送して正しいデータを復活させるための仕組み、入れ違った順番を直す仕組みを、両側のそれぞれのコンピュータにまかせることができる時代が来たということです。
ネット業界の1年先、3年先、5年先を正しく透視することは困難だが、かといって、「現在の勝者だから」という視点のみで業界を見ることの大きな過ちはおわかりいただけたのではないか。1年先、3年先、5年先……激変していく技術、経済、社会に追随していけるものはなにか。それは人間の知恵である。「知恵こそが唯一、幾多の変化にも柔軟に適応し続けることができ、イノベーションを生み出す源泉である」と語ったのは、たしか、著名な経営学者のP・F・ドラッカーであったと記憶しているが、いつの時代の変化にも対応できるその知恵と、急激に進む技術革新を、新しい顧客サービスに昇華する産業、それがネット業界である。そういう自覚を、業界人は持たなければならないだろう。そろそろまとめにかかりたい。
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